6月1日、ハワイで初めての日本式サンドイッチ専門店がソフトオープンする。ちょっと薄く切られた生食パンの耳を落とし、三角形に切られあのサンドイッチだ! マヨネーズで和えた卵サンド、ツナサラダ、カツサンド、生クリームたっぷりのフルーツサンド‥‥ローストビーフや黒豆とマスカルポーネなど、グルメなセレクトもできて、まるでサンドイッチブティック! パン生地も、パン焼きも、野菜やフルーツの具材すべても吟味して、マヨネーズも生クリームまでもぜ~んぶ、ちゃんとこだわった。手作り、できたてサンドイッチ専門店だ。
Manaビハインドストーリー
店の名は『Mana Sandwiches』。マナはハワイ語でエナジーという意味で、超自然といったハワイのスピリッツをも含む、とても包容力のあることばだ。オーナーは、ミホ・チェ・フェレナンデスさん。BRUG Bakery Hawaii の代表として、現在5店舗の采配をふるっている。
お母さん経営者のまなざし
ミホさんは、バリバリのビジネスパーソンだ。18歳でスペインに留学し、5ヶ国語が堪能。大学卒業後は航空会社やシンクタンクに勤務。MBAも取得。結婚を機にアジアの国へ。北海道ブルグのオーナーである親友から、日本で人気のスィーツをアジアで売りたいと誘いを受け、事業の立ち上げに参加。寝る間を惜しむ行動力と集中力で2009年に1号店をオープン。年商15億円にまでに急成長させた。
離婚も経験し、スペイン出身の現在の夫と出会い再婚。
「ニュートラルな考え方をする人で、私初めて、温かな家庭の中で子どもを産み育てたいと思ったんです」
愛する夫や子どもを持つ家庭人として、ビジネスに関わることを大切にしはじめた。
日本のおいしいパンをハワイへ
その後ハワイのブルグベーカリーを引き継ぐことになり、2014年に一家でハワイに移住。第一子の長男誕生。仕事と家庭を両立させながら、「日本のおいしいパンをハワイに伝えたい」一心で、Best Bakeryに選ばれるほどに躍進させた。一方でミホさんはこんなことも言っていた。
「もっと子育てをする時間を増やしたい。お客さんに喜ばれるだけでなく、従業員にもハッピーなブルグでありたい。なんかみんなのお母さんみたいな感覚ですね」
ずいぶん若いお母さんですねと笑ったが、サーバントリーダーシップ、仕える経営者の姿を見た。
コロナ禍で一家離散
2020年、夫のアルベルトさんが息子2人を連れて母国スペインに帰省中、コロナのロックダウンが起き、ミホさんだけがハワイに残され、一家離散。
「当初はコロナ対応で大変。2店舗だけ営業を続けました」
パンはすべて個別包装にした。特製ケースで、二重に外気から守られるようにもした。2020年6月、5店舗すべてのブルグを通常営業に戻すことができた。
「コロナ禍の試練はあったけれど、家族と離れて一人で考える時間が与えられたことは良かったです。私は在日韓国人3世で日本で生まれ育ちました。だからどこかで日本に恩返しをしたい思いがあるんですね。日本のおいしいものをハワイや世界にもっともっと紹介したいと強く思っています」
サンライズでManaエナジー
1年半ぶりに一家水いらず、ビッグアイランドへ家族旅行に出かけ、マウナケアでサンライズを見た。パノラマの暁の地平線に光がにじみ、ゆっくりと太陽が顔を出す。
「太陽の光と熱を肌に感じるような、なにか全身から込み上げてくるものがありました。私が今こうしてあるのは、ハワイとハワイの人に受け入れてもらったおかげだなあって、感謝でいっぱいになりました」
マウナケアの日の出は、新たな歩みを始めることへの温かなエールだった。
ロゴに込める思い
「サンドイッチ専用のおいしいパンを焼く技術はあるので、いつかサンドイッチを作りたいと願っていました」
お客さんからのリクエストも少なくなかった。
「サンドイッチは生の生鮮食品を扱うのと同じ低温管理が必要です。ですからManaの厨房はブルグとは別。調理カウンターなどには冷却用の特注品を使います」
地元の食材、おいしい旬、おいしさのクオリティを求めることを第一に、生産者を訪ね歩いた。日本のイチゴを直輸入する計画を進めた。数ヶ月間毎日、試作を続けている。
同時にManaのロゴデザインを進めた。任せたのは第一線で活躍するイラストレーターのソリマチアキラさん。
「デザインストーリーがあってね、ブルグの創始者の孫の女の子がハワイで暮らせることになり、大好きなローカルのフルーツをいっぱい抱えている姿なんです。色はコーラルピンクです」
リボンのような線づかいが優しい。見た人はこうリアクションする。「この少女、ミホさんに似てる!」、と。
「イチゴサンドやミックスフルーツなど、サンドイッチの種類は30種類くらいです。特製ソフトクリームやイチゴミルク、イチゴサンデーなどのスイーツも用意します。開店を楽しみにしてくださるとうれしいです。精一杯、おいしいサンドイッチをお届けさせていただきます」
日刊サンでは、Mana グランドオープン前に、マナサンドイッチのラインナップやおいしさのクオリティをたっぷりご紹介します。
(取材・文 奧山夏実)
Mana Sandwiches マナ サンドイッチ
アラモアナセンター内フードコート「THE LANAI」
BRUG Bakery となり
1450 Ala Moana Blvd #2274
6月1日 10時ソフトオープン
6月18日 10時グランドオープン
ソフトオープン中の営業時間:
9am〜6pm (6/18以降は変更)
(日刊サン 2022.5.20)
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