2023年8月3日(月)、ホノルル高速鉄道「スカイライン」オペレーションセンターの見学会に参加した。
スカイラインは、6月30日から第1期区間のクアラカイ(東カポレイ)駅~ハラヴァ(アロハスタジアム)駅の旅客サービスを開始した。オペレーションセンターは、ハラウラニ(リーワード・コミュニティ・カレッジ)駅近くにある。
スカイラインを運行・保守する日立レール社
この米国初の完全自動運転都市鉄道システムを構築し、運行を担当する企業は、日立製作所のグループ企業、日立レール・ホノルルJV。
同社は、2011年にホノルル高速鉄道輸送機構(HART)からプロジェクトを受注し、2016年5月には車両の第一編成を納入していたが、受注から第一区間のサービス開始まで12年を要した。
車両の設計・製造は日立レール・イタリア(旧アンサルドブレダ社)が担当し、車両の組み立ては米国カリフォルニア州の工場等で行った。自動運転システムを支える信号・制御システム、ホームドア等の設計・製造、試験と安全認証、システムの運用と保守は、日立レールSTS(シグナリング・アンド・トランスポーテーション・システムズ)社(旧アルサンドSTS社)が担当している。このように日立レール社は、世界各国から優秀な人材が集まって最先端のプロジェクトを推進するグローバル企業だ。
当日の見学会では、日立レール社のドメニコ・フォルティンゲラ専務取締役とジェイソン・ラーツ運用・保守責任者、カーラ・マッツェイ広報課長による案内および各種説明がなされた。
完全自動運転システムをどう管理するか
スカイラインは現在、4両編成の列車5本が10分間隔で各駅に到着するように自動運転システムで運行している。その運行を管理するのが、オペレーションズ・アンド・サービシング・ビルディング2階にあるオペレーションズ・コントロール・センターだ。
オペレーションズ・コントロール・センターでは、9席のワーク・ステーションにオペレーターが座り、列車、駅、線路の映像、地図、すべての列車の運行状況を監視している。毎日の自動運転システム全体の成功率は99.5%を達成している。異常が発生すると、オペレーターは、各列車内の監視カメラのうち、最も近いカメラを自動的に回転させて現場に焦点を当て、スタッフを現場に派遣したり、消防車、救急車、警察に出動を要請する態勢を整えている。
車両の保守点検は夜を徹して行われる
ハラウラニ駅付近から分岐した何本もの線路が、車両基地の中へ伸びている。スカイラインの運行時間は現在、土曜と日曜・祝日は午前8時~午後7時、月曜~金曜は午前5時~午後7時。運行が終了すると、車両は車両基地へ入り、夜を徹して保守点検が行われる。車両基地では、車両を持ち上げたり、線路の下に作業空間を設けて、保守点検を行う。顔の高さに持ち上げられた車輪の近くには、監視カメラが複数設置されていた。
スカイラインの乗客を増やすには
ホノルル市は、乗客数の増加に取り組む。「アロハスタジアムでコンサートが開催された7月28日には9600人が乗車した。8月26日にはメガ・ボン・ダンスを開催。夏休みが終われば、沿線の大学や高校に生徒が戻ってくる」とのこと。
日立レール社は、アロハスタジアム~ダニエル・K・イノウエ国際空港~ミドル・ストリートの第2区間を、2025年にサービスを開始すべく、ハード・ワークを続けている。
スカイラインの乗り方
スカイラインに乗るには、ホロカードが必要。ホロカードを使えば、ザ・バスやスカイラインに1日に何回乗っても上限6ドル(2回分)。ABCストアでは、ホロカードのワン・デイ・パス(9.5ドル)を購入できる。スカイラインの駅では、ホロカードの購入や金額のチャージができる。
ハラヴァ(アロハスタジアム)駅、ホノウリウリ駅、ケオネアエ駅には駐車場あり。
ワイキキからザ・バスを使ってハラヴァ駅へ向かう場合は、クヒオ通りのバス停から20番のバスに乗ると、約1時間30分でハラヴァ駅に到着。
皆様も、ぜひ一度ご乗車ください。
(取材・文 大柳英人)
(日刊サン 2023.9.1)
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