ハワイ大学マノア校とハワイ・パシフィック大学の海洋学者が最近発表した研究によると、アラワイ運河の感染性バクテリアの急激な増加は、周辺地域の降雨量に大きな影響を受けているという。
この研究のきっかけとなったのは、2006年4月6日に起こったオリバー・ジョンソンさんの死亡事故だったとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
ジョンソンさんはアラワイのボートハーバーに落ちて切り傷や擦り傷からビブリオ・バルニフィカス菌に感染したことが原因で亡くなったとされている。
運河から救出されて数日後には、ジョンソンさんの体は普段の3倍の大きさになるほどに腫れ、家族によって生命維持装置を外される決定が下されるまでの間臓器不全の症状に苦しんだ。
ジョンソンさんの死後、彼の友人たちはメディアを通じて運河の水に近づかないよう警告をしている。
ジョンソンさんがアラワイのボートハーバーに落ちた2週間前には、ホノルル市の42インチ(およそ1メートル)主要下水管が壊れ、4,800万ガロンの汚水がアラワイ運河に流れ込むという事態が起こっていた。
ジョンソンさんが落ちた周辺は糞尿で汚染されていたのだ。
当時行われた調査では、当時のバクテリアの数は高かったものの異常なほどの数値ではなかったとされている。
この件がきっかけとなり、アラワイのバクテリアに関する研究が開始され、今回の発表に至っている。
グレイグ・スチュワード教授によると、ジョンソンさんは大量の雨が長期間にわたって継続した後にバクテリアに接触していることから、そのことが何らかの関連があるのではないかと考えて研究を行ったという。
「降雨量が極端に少ないと運河の水は塩分が増加し、それはビブリオ・バルニフィカス菌にとって好ましい状況ではありません。反対に降雨量が増加するとこの菌が好む水質へと変化するのです。また、降雨量が増加すると菌が運河からハーバーへと移動することが判明しました」
研究チームでは今後もバクテリアの濃度や感染の危険性について研究を継続していくという。
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写真: Shutterstock.com
(日刊サン 2022.3.14)