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【今どき ニッポン・ウォッチング】日本、H3「再使用型」ロケットの開発に着手
日本の宇宙産業の主力ロケットである「H2A」は、性能的に極めて信頼できる衛星打ち上げ用のロケットとして、国際的に名を轟かせている。というのも、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2001年に行った宇宙衛星の初発射以来、43機中の42機が成功し、97.7%という非常に高い成功率を誇っているからである。
ところで近年、世界的に人工衛星の打ち上げが増えているにも拘らず、日本製のH2A型ロケットは、諸外国からの受注が増えていないのはなぜだろうか、関係当局は頭を悩ましていたのである。
その調査結果によると、主な「不人気」の原因は、打ち上げに掛かる諸経費が余りも高額であったこと、性能の問題ではなかったことが明らかになった。この日本製のロケットを一機打ち上げるとどの位の費用が掛かると言うと、日本円で約100億円は掛かる。これはロケットの打ち上げに掛かる全ての人件費も含んでの総額である。
この実情を知った日本の文部科学省は、有識者会議を開いて検討を重ねた結果、次のような結論に至った。新たに打ち上げる計画の「H3」の新型ロケットからは、これまでの約100億円の経費を、出来る限り工夫を凝らして、約半額の50億円に抑えるべきである、と。
この新たな方針によって、日本の新型ロケットH3の研究開発と製造は、性能的には現在のH2Aよりも更に優れ、同時に製造費も節約でき、世界各国の宇宙開発に貢献できるという明るい展望が開けたのである。
世界的な宇宙開発においても環境保全型志向の流れの中で、ロケットの再利用、または再使用が課題となってきた。周知のように、既存の衛星打ち上げ用のロケットは、通常は一回使用のみである。ところが2010年以来、米国の宇宙企業スペースXが、世界に先駆けて再使用型のロケット機体の開発に着手し、近年、海上の施設に着地させるファルコン9の開発に成功している。
日本では衛星や宇宙飛行士を乗せた宇宙船の輸送を目的とする再利用できるロケットの開発も期待されている。JAXAによると、再使用型ロケットの落下時の誘導技術に関しては、ドイツやフランスの研究機関から独創的な技術を学ぶ必要もある、とのことである。
つまり、宇宙開発に必要とする新型の再使用型ロケットは、各国がそれぞれ独自の技術を出し合い、協力し合うことによって、比較的短期間に開発が進むのであろう。このような国際的な協働作業によってこそ、人類共通の宇宙の開拓と旅がより早い時期に実現できるようになるのであろう。
わが国も地球、あるいは宇宙の一員として、各国との協力関係の中で、最新・最高の技術を備えたH3や再使用型ロケットの開発が期待される。日本製のH2Aロケットの性能の良さを高く評価してきた国々は、これから誕生する新型ロケットが一日も早く誕生するのを、心待ちにしているに違いない。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.226
早氏 芳琴