元ハワイ州上院与党党首であるJ・カラニ・イングリッシュと、逮捕時に現職下院議員(すでに辞職)だったタイ・カレンの2人は2月15日(火曜日)に裁判所において行われた最初の審議で有罪を認めたとハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
連邦裁判所で行われた初めての審議で、公務に携わる立場の人間が自らの公的立場を利用して不正を行った罪で有罪を認め、これにより最高20年の禁固刑と最高25万ドルの罰金刑を受ける可能性がある。
司法取引として、イングリッシュは15,305ドル、カレンは23,000ドルを没収されることに同意している。
2人はパスポートとその他旅行書類の押収などの条件を受け入れ、5万ドルの保釈金を支払ったのち保釈された。
判決は7月5日に行われる予定だ。
イングリッシュは昨年「新型コロナウィルス感染による長引く後遺症」を理由に上院議員の職を辞職していたが、裁判記録によると、イングリッシュは当時すでに捜査対象となっていた。
カレンは先週起訴されたことが公になったときに辞職している。
2人は、地元企業経営者であるミルトン・チョイから金品を受け取り、州政府の資金による汚水溜まり移転プログラムを設立する法案を提案した。(その法案はのちに却下されている。)
このプログラムが実現すればミルトン・チョイが経営する産業清掃会社は利益を得ることになるはずだった。
イングリッシュは裁判所で自身の行動を正当化しようと「あの法案はハワイの人々のためになるものだった」と述べたという。
これを受けてハワイ大学政治学のコリン・ムーア教授は「ハワイ住民は怒るべきだと思います。2人が有罪を認めることで、一般市民から許しを乞おうとするのであれば、まず悪いことをしたと認めなければいけません」と述べている。
連邦裁判所のスーザン・モルウェイ上席裁判官が、ミルトン・チョイから金品を受け取ったときに政治献金として報告しなかった理由について質問したが、イングリッシュは「報告するということに考えが至りませんでした」と答えている。
この答えについて批判の声が上がっているという。
政治関係の専門家のイアン・リンド氏は「この答えはあまりにも馬鹿げています。彼の理論的根拠は、受け取った金は事務所に届けられなかったからだと言っているのです。事務所を通じて正式に受け取られたものであれば、すべてが帳簿に記載されて政治献金として報告されるはずです。金が事務所にではなく自分のポケットに入ったから、『(事務所に)報告することが思い浮かばなかった』と裁判官に答えていますが、この言い訳が通用するわけがありません」とコメントしている。
連邦副検察官のケン・ソレソン氏は、取り調べの際にイングリッシュは金を受け取ったことを「(政治献金として報告するべきだと)知っていたがわざと報告しなかった」と認めたと指摘しており、イングリッシュはその後の審議で「賄賂を受け取っていると人々に知られたくなかった」ために「考えが及ばなかった」と嘘をついたことを認めさせられたという。
ムーア教授は州議会議員2人が賄賂を簡単に受け取ったことについて、ハワイでの政治汚職は人々が考えているよりもはるかに広く行われていると指摘している。
「市や州の行政機関や議員の間で汚職が広く行われていると思います。このような例がたくさん出てきているのですから」
2019年には仕事を受注するために請負業者がハワイアン・ホームランド局の職員に贈賄をして有罪となっており、昨年も市の建築計画許可局の職員数人が業者から賄賂を受け取った収賄で有罪を認めている。
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写真:Shutterstock
(日刊サン 2022.2.16)