元ハワイ州上院議員で上院与党党首だったカラニ・イングリッシュと現職（すでに辞任）下院議員のタイ・カレンが2月8日（火曜日）収賄容疑で連邦裁判所に逮捕された事件は、ハワイ州内に大きな波紋をもたらした。

議員2人はすでに賄賂を受け取ったことを認めているという。

この事件で贈賄側とされている会社及び経営者についてハワイ・ニュース・ナウが伝えている。

（ハワイ・ニュース・ナウによる注：収賄事件についての裁判所書類において贈賄側についての名前は明らかにされていないため、会社名や経営者氏名の公表は差し控えている。）

贈賄側とされている会社は地元の商業清掃会社で、そのウェブサイトによると、オアフ島のザ・バスの100万ドル（およそ1億1,500万円）の清掃作業などを含むいくつかの清掃契約を行政機関と締結しているという。

また、2014年からのハワイ州議会選挙活動報告書によると、当会社従業員や役員、経営者とその親族、関連企業とその従業員などからおよそ30万ドル（3,400万円）がハワイ州議員候補50人以上に政治献金として寄付されている。

ハワイ大学政治学教授のコリン・ムーア氏は「このことだけでもこの人物がハワイ州内の議員選挙で最も多額の政治献金を行っていた人物だということは明らかです」と述べている。

今回逮捕されたカラニ・イングリッシュには19,000ドル（およそ220万円）、タイ・カレンには11,000ドル（およそ130万円）が選挙キャンペーン時に献金されている。

選挙活動を担当する会社が多額の献金をした人物を議員に紹介して、そこから贈収賄の機会が生まれたのではないかと見られているようだ。

退官した裁判官で元検察官でもあるランダル・リー氏は「政治献金によって、議員との繋がりができ、議員の社会的な人間関係の仲間入りをするのです。多額の政治献金をすれば、信頼できる人物だと思われるからです。そして当選した議員に対して自由にアクセスできるようになります」と述べている。

ハワイ州議員たちは今回の収賄事件に衝撃を受け、このようなことが2度と起こらないように何らかの対策を検討しているという。

ロビー活動をする人々や請負業者からの贈り物を報告書に記載しなかった議員に対してより厳しい罰則を求め、政治倫理についてのトレーニングを必須にして、より透明性を高めるなどを今期議会で検討することになるだろう。

カネオヘ選出の上院議員ジャレット・ケオホカロレ氏は「今回の事件は本当に大きな問題で、議員全員が白い目で見られています。今後の捜査の進展を見守っています」と述べ、下院議長のスコット・サイキ議員は「ホノルル警察署長だったケアロハのスキャンダルを機に新しい法律が議会で可決されました。これによってもし今回逮捕された議員が有罪となれば、議員としての年金の一部を取り上げられることになるかもしれません。収賄は本当に悪いことです。政治腐敗です。これからどうなるのか懸念しています」と述べている。