ケガのおはなし
年を重ねると傷の直りが遅くなる、というのはよく聞きますし、最近では身をもって実感することも増えました。
子供のころはすっ転んで膝小僧をすりむいても、せいぜい1週間もあればつるりときれいに治ったものですが、もし今同じように転ぼうものなら、まあ1か月は治らないでしょうし、あの頃はできなかった青あざなんかもできるに違いありません。そして片方の膝をかばっているうちにもう片方の関節がなんだか痛くなって……。
とはいえ、大人になるにつれてケガそのものの頻度は明らかに下がります。子どものころは体のバランスがまだ出来上がっていなかったり、注意力が散漫だったり、無茶したりとケガとは無縁ではいられなかったものです。そう考えると結局のところプラスマイナスゼロなのかもしれません。
そんな偉そうなことをいっている私ですが、先日久々にケガをしてしまいました。ケガといっても火傷です。そして理由は完全なる不注意。コーヒーメーカーの保温スイッチを切ったと思っていたのに切れておらず、アツアツのままのコーヒーメーカー、それもコーヒーを温めるお尻の部分を触ってしまったのです。それも、右手の人差し指・中指・薬指で思い切り掴んでしまったものだからもう大変。自分の耳には「ジュゥ」という音が聞こえた気がしました。
頭は意外と冷静で、すぐに水道の水で冷やし始めましたが、徐々にじんじんする痛みが始まり、皮膚は白っぽくなってきてしまいました。10分、20分とただひたすら冷やしても痛みは強くなるばかり。これはどうにもならない、と医者嫌いの私にしては珍しく自分からクリニックに赴きました。
結局、火傷そのものは大したことはなかったのですが、指先というのは体の中で最も感覚が鋭敏な箇所だそうで、そのせいで痛みが強く、またいろんなものに触れるので感染症を起こしやすいから気を付けるようにと口酸っぱく言われての帰宅となりました。その日は寝るまでジンジンしたままで、しばらくコーヒーなど飲むものかと思ったものです。
あれから2週間がたち、指先は水ぶくれが自然につぶれた後はきれいさっぱり治りました。しかし治るまではタイピングもできないし、スマホも思うように触れない、食事やトイレにも困る有様でした。2週間で治るなんて、実は私はまだまだ若い?! なんて思いあがることなく、これからは気を付けて生きていこうと思います。
CAN OF ALOHA No.61
金平 薫 (Kaoru Kanehira)
香川県出身、現在はハワイ某所にて武者修行中。 日々のあれこれを、ゆるりとお伝えできたら幸いです。美味しいものには目がありません。 なんでもない毎日は Instagram:kaoru_daysをご覧ください。