珊瑚礁が洪水被害防止 米国内で毎年約18億ドル試算
最新の調査結果によると、アメリカ国内に存在する珊瑚礁は毎年18億ドル相当の洪水被害の防止効果があることが報告されている。中でもダイヤモンドヘッド、ワイキキ、カカアコの沖合に広がるサンゴ礁の被害防止相当額は国内最高値をマークしている。
カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校の研究調査チームは、ハワイ州、フロリダ州のサンゴ礁は1キロ四方あたり1,000万ドル以上の洪水被害防止を提供すると推定している。この研究は15日、情報誌『Nature Sustainability』に掲載された。それによると、オアフ島のダイヤモンドヘッド、ワイキキ、カカアコのサンゴ礁が担う洪水被害防止の年間推定額は1億5,430万ドルに昇り、ハワイ州内に存在するその他6つのサンゴ礁はそれぞれ、5,000万ドル以上の被害防止効果があるとされている。「洪水被害低減を担う米国内の珊瑚礁の価値について」と題されたこの研究では、米国内のサンゴ礁の高さが現在より1メートル下がった場合、深刻な洪水被害の可能性が高い「リスクゾーン」が23%増加、洪水被害に遭う可能性のある人々は62%増加、潜在的な被害コストは53億ドル増加するとしている。珊瑚礁は現在、海の温暖化と酸性化によって世界的に減少しつつある。
米国地質調査委員会と共同で実施されたこの調査では、ハワイ州、フロリダ州に加え、米国領土であるプエルトリコ、バージン諸島、グアム、米領サモアのサンゴ礁も調査対象となった。発表された研究結果に含まれる地図には、オアフ島内の複数の珊瑚礁が含まれ、それぞれの推定価値はカイルアが8,300万ドル、ウィンドワード・ショアが6,200万ドル、ホノルル東部ブラック・ポイントからポートロック・ポイントまでが7,840万ドル、ノースショアが1,810万ドル、ワイアナエが9,240万ドルとなっている。この調査は住民と人工インフラへの影響が焦点とされたため、ハナウマ湾など海岸沿いに人口が少ない地域は含まれていない。
(日刊サン 2021.04.19)
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