人生の旅
氷点下になることもずいぶんと減り、春の陽気を少しずつ感じるニューヨーク。あたたかくなるに連れて、街を歩く人もずいぶんと増え始め、また以前のような活気が少しずつ戻り始めた。
太陽が燦々とかがやく日曜日の昼下がり、友人Kさんが会おうと連絡をくれた。イタリア大好きで、前世はイタリア人だったんじゃないかと私が勝手に思っている友人だ。コロナでなかなかイタリア旅行へいけず寂しがっていたので、マンハッタンのノマド地区にある大人気の「イータリー」へ。レストランは2時間待ち。おお! 通常のニューヨークが戻ってきた! なんともなつかしい感覚だ。
レストランでのランチは断念して、イータリー内でワインとサラダを購入しマディソンスクエアパークまえの広場に腰をおろす。大勢のひとで賑わうなか、あちらこちらから他言語が聴こえてくる。ああ…、この感覚もなつかしい! リラックスしていると、Kさんがこんな話をはじめた。
ホスピスケアのお仕事をしているKさんの友人Aさんの話。
Aさんが、患者さんを訪れると、死を間際にした患者さんはもう目を開くことも、言葉を発することもできずただただ、ベッドに横たわっていた。そこでAさんは、閑かに目を閉じて瞑想をはじめた。
しばらくすると、目の前が黄金色の光でつつまれた! ビックリして目を開けてみるとなんとその光は患者さんから発光していたのだそう。その黄金色の光をみて、Aさんはすぐにその光の正体がなにかわかった。
その光の正体は……「感謝」だった。
ことばではなく、エネルギーを感じたのだが、Aさんは確かに患者さんから発せられた光が「感謝」であると感覚、直感で確信した、と。
あたたかい太陽の日差しと、なんとも心地のよい春の風を浴びながら、わたしは気づいたらはなしに夢中になっていた。
ひとはひとりで生まれ、ひとりで死んでいく。
この1年、突然のパンデミックであたりまえの日常が姿を消し、「生死」を以前よりも身近に感じることが増えた。人生という旅は、これから一体、どこへと向かっていくのだろうか。
先のことはだれにも分からないけれど、どんな人生を送りたいかはじぶんで選択していくことができる。一度きりの人生ならば、思いっきりたのしみ、心の底から笑って、ときには泣いて、ダイナミックにチャレンジをし、愛と感謝をもって生きていこう。
Kさんの横顔をそっと照らす明るい太陽の光をみながら、そんな力強い気持ちがわいてきた。生きることへの希望の光がさらに大きく広がった、愛の時間だった。
私の旅ストーリー
大森 千寿
NY在住。香川県高松市生まれ。アーティスト・作家・アートセラピスト・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー・現代レイキマスター。NY・ハワイ・日本の3箇所にアートスタジオを構え活動。著書に、amazon電子書籍「ハワイに不動産を購入して人生10倍楽しむ方法」「ハワイで聞いた! 32通りの生き方(第一弾)」「人生の冒険」がある。NYで新しい扉を開く2日間プログラムやニューヨーカーと行く穴場ツアー、アート最前線ガイドなど開催中。 www.chizuomori.com ameblo.jp/adamwestonart
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