私のアサトくん
思えば、初めてギターを弾いたのは小学4年の頃だった。物置に転がっていたクラシックギターを取り上げてみたのだが、ギターのことなど何も知らない小学生である。音は鳴れども音楽にはならず。すぐにあきらめてしまった。
私の生まれ育った群馬県高崎市は、中学生になると男子全員がギターを始めるような地域だったため、私も自然とギターに慣れ親しむようになった。とはいえ、マジメに練習していないので、Fのコードがギリギリ押さえられる程度にしかならず。最低限のコードを知っている初心者レベルのまま、30年以上が経過してしまった。
一方、夫は元ギター弾き。コロナ騒ぎで店が暇なせいもあり、最近ギターを弾く時間が増えている。このところ「レット・イット・ビー」を熱心に練習中。ビートルズの天下の名曲を、若いギタリストがアレンジして弾いているのをYouTubeで見つけて、たいそう気に入ってしまったのである。
このアレンジがめちゃくちゃ素晴らしい。もともときれいな曲だけど、「ギター1本だけでこんなに美しいハーモニーを奏でられるのか!」と感動してしまった。
この若きギタリストはブラジル出身で、その名をマテウス・アサトという。そう、アサト(安里)という名字からも分かる通り、日系人なのである。父方の祖父母が沖縄からの移民だそうで、見た目も完全にアジア人。長髪にヒゲ、濃い眉毛で、かなりワイルドな風貌です。
アサトくんは、SNSから生まれた新世代のミュージシャンとして世界的に超有名かつ注目のギター弾きなのだった。10年以上前からYouTubeなどに動画をアップしてきて、そのままプロになってしまったわけですね。
ギターの歌いっぷりがとにかくステキ過ぎ。凄腕なんだけどエモーショナルで、「ギターを本当に歌わせることができる」と評されているのが良く分かる。
私もアサトくんの歌いっぷりにすっかり心酔してしまい、突如ギターを練習し始めたのだった。
しかし、このまま弾けるようになるとは思えないので、試しに指の練習をしてみた。これがあり得ないほどの効果を発揮し、たったの10分で信じられないほど上達してしまったんである。これには夫も「お前のレベルだったら絶対にできないことができとるで」とビックリギョーテンしておりました。
「運指の練習をしたことで、今までつながっていなかった何かがつながったのではないか?」とのこと。なるほど。しかし、私は「アサトくんLove! 」のチカラなんじゃないかと思う。愛のチカラは、偉大なりけりG#m7(Gシャープマイナーセブンス)。
てなわけで、ギターやウクレレに伸び悩んでいる方に、1日15分程度の運指の練習をオススメします。速攻で効果あり。ただし初心者限定だよ!
No.203
相原光(アイハラヒカル)
フリーランスライター&翻訳
群馬県出身、早稲田大学卒業。2008年結婚してハワイに移住。夫は寿司シェフ。2012年4月双子猫パンとマーチを連れてハワイ島に引越。8月に玄米寿司とムスビの持ち帰り店「DRAGON KITCHEN」を夫婦でヒロにオープン。現在ライター兼寿司屋のお手伝いとして活動中。姉は漫画家の花福こざる。
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