日日是好日(ひびこれこうにち)
私は、娘夫婦とミュージアムグッズを制作する零細企業を生業としてきました。しかし、このコロナ禍で美術館も当初は全て閉鎖。会社はひっ迫状態になり、娘は、SNSを強化。ネットで世界の美術館を検索中に、ルクセンブルグアートプライズという新人発掘コンペティションを発見。年齢・国籍・プロ・アマチュア問わずとのこと。70歳の私は“年齢問わず”に感激し、チャレンジを決意しました。
締め切りは8月31日。東京の猛暑の中で1300度の窯にて焼成しました陶磁器の花器に、800度で箔を貼る工程を経て、ヒバの香りが漂う120センチ角のボードにミニ陶磁器の花器や繭などをアレンジしてマグネットアートを完成。コロナ禍でなければ抗菌の香りとコラボを、などとは思わなかったはず。作品名は、「さよならウイルス」にしました。孤軍奮闘の1ヵ月、疲労困憊の中でふと“日日是好日”の言葉が心に浮かびました。
この語は禅語の言葉。ネットで法話検索をしました。この語は、毎日いい日が続いてけっこうなことだ、の意味ではないということ。私達は、今日は良い日だ・悪い日だという場合、天気だけでなく、お金が儲かった・損をした、等々のいろいろなそんな物差しで好し悪しを判断しがちです。それではたとえ、ある日幸運が訪れても、その後に来る不運に脅えなければなりません。
日日是好日とは、そんなこだわり、とらわれをさっぱり捨て切って、その日一日をただありのままに生きる、清々しい境地。たとえば、嵐の日であろうと、何か大切なものを失った日であろうと、ただひたすら、ありのままに生きれば、全てが好日。
好日の好は好悪の“好し”の好ではないそうです。「失ってしまったか、よし、どうにかこれを改善しよう!」などと、積極的に生きる決意の“よし”がこの“好”の意味。禅では、過ぎてしまったことにいつまでもこだわったり、まだ来ぬ明日に期待したりしません。目前の現実が喜びであろうと、悲しみであろうと、ただ今、この一瞬を精一杯に生きる。その一瞬一瞬の積み重ねが一日となれば、それは今までにない、素晴らしい一日となるはず。という意味だそうです。
9月になり、Web東京展への応募要項が届き、私はルクセンブルグにチャレンジしたものとはちがう小さな作品を作りました。背景に“日日是好日”の文字をぼかして描きました。
爽やかなヒバの香りがする作品の名は、「さよならウイルス・日日是好日」。
ハワイ留学へ 60代からのユルユラAloha留学 No.94
蒼井 絹子
北海道生まれ。学習院女子短期大学英文科卒業。
1984年 「ベルーシの涙は、スニーカーブルース」が、NHK北海道ラジオ創作ドラマで採用。
1987〜89年 3人の小学生の子供達を連れて渡米。シアトルのグリッフィンカレッジに留学・卒業。シアトル日本語放送局にて番組を担当。
1994年 北海道にて、陶芸工房【G-club】を開設。
1997〜2001年 北の生活産業デザインコンペにて入選・入賞。
2002年 財団法人中小企業総合研究機構会長賞を「マグネット・アート」で受賞。
2003年 東京に工房・オフィスを開設。
2011年 日本旅行作家協会入会。東京都TASKものづくりコンテストにて奨励賞を受賞。
2012年 東京都美術館「東京展」にて「マグネットアート」入選。
2014年7月7日より、ハワイマッサージアカデミーへM-1(技術取得ビザ)にて留学。
2015年1月17日、卒業