日本の小学校でキャリア教育を教える
先日、出張授業で大阪市内の大和田小学校を訪れました。キャリア教育の一環として、あと少しで卒業する6年生へ「働く」ことについて話をするためです。
ゲストプロフェッショナルとして私を呼んでくれたのは、ベンチャー企業の人事部で新卒採用を行う私の友人で、キャリアコンサルタントの真瀬さん。この企画は、目的や生き甲斐を持って仕事をしている新卒者が少ないと日頃から感じている彼女が、将来について考える力は幼い頃からつけておくべきだと企画したもの。私以外にも元プロ野球選手や、野菜ソムリエの方などが来ていました。
情熱や喜びを感じる仕事に就いていない若者が多くいるのは、企業だけでなく国家にとっても大きな問題であり、政府は数年前からキャリアコンサルタントの資格を国家認定にしました。このようにより多くの若者達がプロのガイダンスを求められるように国を挙げて改革を進める中、実際の社会人が小学生を教育するというプログラムは珍しく、校長先生もとても喜ばれておりました。
「何の仕事をしていますか?」という質問から始まり、どうして人間は働くのか、夢とは何かと話は発展し、最終的には自分の能力と時間、すなわち自分の命を使って仕事をするのだから、心が満たされ魂が納得する仕事を見つけて欲しいということを伝えました。
質問が得意な子とそうではない子、「物」に興味がある子と「人」に興味がある子。それぞれが違った強みを持つ生徒達はこのキャリア教育をどのように受け止めたのでしょうか。働くことに対する意識改革のニーズに気づいてはいるものの、大きな変化を成し遂げている企業はまだまだ少ない日本社会。本当は国民全員が受けなければならない授業を6年生という若さで受けられた大和田小学校の皆さんは本当にラッキーだったと思います。このような機会に恵まれた際に多くを学ぶ人間になるには、普段から五感を使って考える癖をつけることが大切です。
やはりここでも感じるのは、IQとEQとCQのバランスの重要性。物事を真剣に考えるには論理的思考力(IQ)が必要。今回用いたソクラテス法は、返答された内容を元に新たな質問を考え出し、質問を繰り返すことで自ら大切なことに気づけるよう促します。自分の考えや意見に主体性を持たせるにはとても有力な対話法で、英才キッズアカデミーでも常に使っているメソッドです。そして自分の将来を意欲的に考える力(EQ)、無限の可能性を追求する心(CQ)、これらが全てバランスよく兼ね備わることでより柔軟性のあるアプローチがとりやすくなります。
とても価値のあるキャリア教育。一人でも多くの子どもが社会に出るのを楽しみにするよう、いつかこれが義務教育となるよう願っています。
教育スペシャリスト メアリー先生 vol. 14
(日刊サン 2020.2.21)
メアリー
教育現場に24年携わるハワイ在住の教育スペシャリスト。カカアコにて英才キッズアカデミーを運営。人間能力開発研究所の創立者であるドーマン博士に直々教わったテクニックと独自の研究を合わせ、「IQ(頭脳)とEQ(人間性)をバランスよく育てる教育法」を開発。こどもLLCなど、子どもが社会に出るのを楽しみにするようなレッスンが人気。また、ストレスのない受験対策や子育ての細かい指導法は信頼が厚い。
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