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インタビュー

【インタビュー輝く人】ストーリーテラー ジェフ・ギアさん / 日本文化パフォーマー ヤス・イシダさん

ジェフ・ギアさん ヤス・イシダさん

 

アメリカ本土やアジア、ヨ ーロッパで、ストーリーテラー(語り部)をはじめ、 画家、操り人形師、パントマイム師、パフォーマンスの講師としても活躍する ジェフ・ ギアさん。彼の愛弟子であり、ホスピタルクラウン(ピエロ)や弁当落 語などのパフォーマンスでハワイと日本で活動するヤスさん。師弟関係を超え、親子、人生の先輩後輩、あるときは子ども同士のようなおふたりは、日常 の生活にマジカルとイマジネーションの火を灯す、輝く人。

ライター:大沢陽子

 

 

ストーリーテリングはみなさんをイマジネーションの旅に連れて行くことができるマジック

 

ジェフ ・ ギアさん

力リフォルニアからイタリア、ハワイ、そして世界へ

−これまでどのようなパフォーマンスをしてこられたのですか?

アートデザインが好きで得意だったので、ロサンゼルスのカリフォルニア大学デイビス校で専門の勉強をしました。アートと何か別のものを合わせてメッセージ性のあるものを表現することをテーマに、詩とアート、ストーリーテリング(語り部)とアートを合わせたりする表現芸術を学んだのです。

 

その後、イタリアへ渡り、あらゆるペインティングを勉強しました。フィレンツェでパフォーマンスアートの修士号を取得して、絵画と芸術の歴史やシアターに関する知識を身につけました。そうすることで、劇場に絵を描き、そこにお客さんが入る、そこでパフォーマンスをするというように全てをできるようになりました。

 

マスクをつけたパフォーマンスや操り人形、パントマイム、絵、音楽を融合させたツアーとしてイタリアを周り、ドイツへも行きました。イタリアでは、600年の歴史がある古城のような場所に留まることになり、そこで2年間パフォーマンスをしました。大きなプールや教会、ワイン畑やワイナリーなどがある素晴らしいところでしたよ。

 

イタリアからハワイに来たのは1982年です。ハワイ大学でアジア演劇を勉強したいと思ってましたし、高校生の時にハワイヘサーフトリップに来たことがあり、サーフィンも魅力のひとつでした。ハワイ大学では歌舞伎や文楽、中国オペラ、インドネシアダンス、日本舞踊などを学びました。 それ以来、ハワイを中心に活動をしています。

 

– ご活躍の場は世界ですね

ハワイでは、ハワイ・パシフィック大学やイオラニ・スクール、ホノルル・アカデミー・オブ・アーツなどでストーリーテリングやパントマイム、操り人形などについて指導をして来ました。同時に、公演も行っています。美術館 や学校、刑務所のほか、あらゆるイベント開場でほぼ毎日のようにショ一をしながら、テレビやラジオに出演したりしています。1年に2~3回は海外を周ります。

 

アメ リカ本土では、テネシーのインターナシ ョナル・ストーリーテリング・センターで1週間ストーリーテリングをしたり、同じようにノースキャロライナ、ケンタッキー、オハイオ、ロサンゼルス、カリフォルニア を周ったり、そのほかもタイ、トルコのフ ェスティバルに参加したりしています。

 

1989年から25年間続いているトー ク・ストーリー・フェスティバルがあり、これは500〜600人のお客さんがアメリカ本土から来てくれるイベントです。また、ストーリーテラーもカナダやシカゴ、アラスカやオハイオ、マウイ、もちろんオアフからくるのですが、そのプロデューサーで走り回っています。こうしたサポートも大切な役目の一つです。

 

 

絵や言葉からイメージの世界へ誘うのがストーリーテリング

ーなぜストーリーテラーになられたの ですか

大切なメッセージを、生の声で人に伝えることのできる、とてもパワフルなものだと思ったからです。観客の前に立 って、自分の口を使って、みなさんをスト ーリーが繰り広げるイマジネーションの旅に連れて行くことができます。ストーリーテリングがうまくいけば、みなさんが年老いても忘れられない体験を残すことができるからです。

 

私自身ストーリーテリングを通して、違う人種の人やほかの人、ほかのものになることを楽しめるのが魅力だと感じています。あるときは、かわいい女の子になったり、大きな男の人になったり、うさぎになったり。感情も同様に、おもしろく、悲しく、楽しく、美しく、怖くもなれるんです。

 

お化けの話から、子どもの話、お年寄りの話、恋愛物語、惑動の話など私が作るスト ーリーはいろいろあります。特にハワイは、小さい島だからこそ幅広い分野の話を通して、みなさんを旅へお連れしたいと思っています。私は画家であり、見せるアーティストです。ストーリーテリングも、イメージなんです。

 

いつもストーリ一を考えるときは、まずは絵や写真からイメージトレーニングをして、頭のエクササイズをしてからはじめるのが私のやり方です。日常の生活の中でインスピレーションを受けた絵や写真はすべて取っておいて、自分の アルバムに置いてデザインをするのです。それを見てストーリーを考えています。

 

お金のためではなく、や りがいのある、意味のあることを、自分がコミュニテ イ ーのためできていると感じる瞬間が 一番の幸せです。ショーを見た方が、私がショーでしたことについて自分に意義あることだったと話してくれたりすると、感動します。

 

サンフランシスコでの人形パレードの先頭を歩くジェフさん

 

日本人移民の歴史を勉強して5年が経って・・・

−日系移民の方の本を書いていらっ しゃ るそうですね

私の娘たちの高校のスピーチコンテストのときのコーチのお母さんで、バーバラ川上さんという方がいらっしゃいます。彼女は日本から来た移民の方で、サトウキビ畑で働いていらっしゃいました。私は彼女に本を書いたらどうかと提案したことがありましたが、そのときは、まだそのタイミングではないと彼女は言っていました。

 

5年前のある日、彼女から電話がありました。そして 「本を書いて」と頼まれました。彼女は 「本を書くときが来た」と言うのです。さらに 「ヘルプミー」と。なぜ私なのかと聞いたとこる 「あなたは日本人じ ゃない、白人だから、あの時の写真を見てあなたの立場で感じたことを言ってほしい」と言われました。彼女の、このスト ーリーを愛しているという言葉を聞き、彼女を手伝おうと決めました。

 

あれから5年間かけて、彼女が経験してきた話を聞き、書いては直して、また話を聞いては書き直したりしながら、本にしているところです。彼女の話を聞くたびに日系移民の方のことを深く知っていきました。それはとてもハードは話です。私は自分のことを日系移民の歴史を勉強する生徒だと思っています。移民の方々が一 年中炎天下の中で、厳しく働かされていたご苦労のすべてを理解できることはありません 。

 

私ができるのは、パーバラさんのように深く理解されている方のお話を語り継いでいくことだけです。バーバラさんは92歳です。彼女との出会いは私の人生で最も美しいことの一つです。私は彼女を深く敬愛していますし、これほど深い友達を作れたことを嬉しく思っています。彼女と私は毎回ガールフレンドとボーイフレンドのように話すんですよ。私の妻も「あなたのガールフレンドから電話よ!と(笑)。

 

ハワイは深い友達を作るのに素晴らしい場所だと感じています。世界中から人が集まるわけですから。ヤスと私もそうですよ。

 

-12月に日系移民物語の公演をされる のですよね

「神話と移民物語のタベ」という公演が 12月にありますが、バーバラさんから話を聞いて本を書いている話とはまったく別のところからの依頼でした。でもこの5年間、日系移民の方について私が調ベ てきたことを今回の公演にも投影したいと思っています。この公演は影絵なので、言葉からイメージをしてもらうことが大切です。もともとの台本は日本語で書かれたものなのですが、それを翻訳してもらい、さらにパフォーマンス用の台本に アレンジして、公演に向けて準備をしています。

 

ーどんな夢をお持ちですか?

幸せに死ぬことです(笑)。私には大きなプランはありません 。毎日、毎回の公演を一歩ずつ歩んでいるんです。川の水のように流されそうになっては、なんとか進んでいるという感覚です。出口はありませんが、私にとって人生はエキサイトメントなのです。

 

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