オアフ島でリカーライセンス(酒類販売免許)を持つ飲食店の大半は、新年からオピオイドの過剰摂取に効くナロキソンの常備が義務付けられる。ホノルルは、この種の法律を可決した最初のアメリカの主要都市となったとKHON2が報じている。
2024年1月1日より、酒類を販売または提供する事業者は、「ナルカン」として知られるオピオイド過剰摂取回復薬を常備することが義務付けられる。ホノルル市議会議員のタイラー・ドス・サントス=タム氏は、選挙区内の酒類販売免許を持つ各施設を訪問し、ナロキソンキットを手渡したという。過剰摂取に備えてナルカン・スプレーを用意する必要があるのは、バーやナイトクラブ、ビールパブだけでなく、リカーライセンスを所持するレストランやツアー船、クルーズ船も含まれる。
なお、1月1日より、ナロキソンを設置していない事業者は最高200ドルの罰金を科される可能性がある。
2020年のハワイでのオピオイド過剰摂取による死亡者数は、2018年と比較して500%近くに急増した。そのため議員たちはナロキソンが必要であると主張した。
ホノルル酒類委員会は、リカーライセンス保持者向けにナロキソンのスターターキットを用意している。このキットには、オピオイド過剰摂取の際に気をつけるべき兆候、例えば、顔や呼吸、心拍が遅いなどの情報が書かれた用紙も添付されている。また、過剰摂取が疑われる場合の適切な対応は、呼吸を確認し、911に電話し、救助呼吸を行い、ナロキソンスプレーを鼻から投与することであるとしている。
しかし、すべてのレストランの従業員がそれを行うことに抵抗がないわけではない。「マーフィーズ・バー&グリル」のオーナーであるドン・マーフィー氏は、従業員たちが責任の所在を懸念し、少し躊躇していると語った。「”善きサマリア人の法”(※)があるのは知っているが、本当に誰かを追及しようとする弁護士がいた場合、それが通用するかどうかはわからない」
サントス=タム議員は、法律には保護規定があるとし、「もし何かが起こり、ナルカンやナロキソンを使わなければならなくなったとしても、あなたは人命救助をしようとしているのだから、責任はない」と語った。
ナロキソンの使用に関する市からの詳しい情報は、ホノルル酒類委員会のウェブサイトで入手が可能となっている。
https://www.honolulu.gov/cms-bfs-liq-menu/site-bfs-liq-sitearticles/54307-narcan.html#narcan
※訳注:病者、負傷者その他の困っている人を助けようとした行為が結果的に望ましくないものだったとしても救助者の責任を問わないとする趣旨の法律。アメリカやカナダ、オーストラリアなどで施行されている。(ja.wikipedia.orgより)
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画像:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.12.28)