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【My Destination】第3章 「再挑戦」ハワイ Part 6
今回も、「幼少からの夢」へのチャレンジまでの残された時間をハワイで過ごしていた時の話を続けたい。
この時のハワイでの一日は、朝6時に起きてモーニングコーヒーを入れることから始まる。朝食を済ませ、朝8時から始まる語学学校に向かうため7時半にはホテルを出発。アラワイ運河沿いに西に歩くのだが、この時間はとても清々しく、毎日の楽しみの一つだった。そして通りがカラカウア・アベニューとぶつかる辺りにあるビルの中に語学学校が入っていた。
この滞在では、その後始まるグローバルでの仕事に備えて、英語のブラッシュアップも目的の一つにしていた。2004年のMBA取得後に日本に帰国してからこの時に至るまで、英語を使用するシチュエーションは皆無に近かった。いくらなんでもその状態ではグローバルな業務に耐えられる状態ではない。色々と方法はあるであろうが、手っ取り早く語学学校に通うことを選択した。
MBA時代に英語でとても苦労して、色々試行錯誤しながら克服する努力をしてきたことは過去寄稿してきた。ブランクは有れど、私のどこかに当時の英語に関するメモリーが眠っている。それを目覚めさせるには、英語を母国語としない我々に対して優しく接してくれる語学学校のインストラクターは最適であった。
授業中に話が違う方向に行く、いわゆる“脱線”も私は楽しんだ。一人のインストラクターはサーファーで、しばしサーフィンに関しての意見を交わした。その彼が発した一つの言葉が、今でも私のサーフィンに対する信条となっている。その日彼は、“Masa,サーフィンにとって一番大切なことは何だか分かるかい?” と尋ねてきた。答えあぐねている私に対して、“Make a good atmosphereだよ”と言った。サーフィンでは一つの波に乗れるのは原則一人なので波の奪い合いの一面もある。よって、ラインナップ(サーファーが波待ちしている所)では、並々ならぬ雰囲気が漂っている時もある。彼は、“だからラインナップに行ったら、まず笑顔で挨拶するんだよ。そしたらその場の雰囲気が和らぐから”と言った。
語学学校は午前で終了する。帰り道でホットドッグを買ってホテルに戻ると、即サーフボードを片手に海に向かうのが常だった。このハワイ滞在は、サーフィンを今後のライフワークの中心に据えると決めた私にとって、集中的に練習することで一生役に立つスキルを磨くことも目的の一つにしていた。語学学校のインストラクターから雰囲気を良くすることの大切さを聞いた私は、即実践に移した。それ以降その信条をいつも大切にしてきたおかげで、10年経った現在でもサーフィンは生活の中心であり続け、実り多き人生を送れている。
帰国を翌日に控えた日の午後。いつものワイキキ沖のポイントで、滞在最後のサーフィンをしていた時に“何か”を感じた。その方向に目をやると大きなウミガメが私の真横でゆっくりと泳いでいた。ウミガメまでが私の信条を理解しているとは思えないが、もしかしたらサーフィンの神様からのプレゼントだったのかもしれない。 (次回に続く)
(次回につづく)
No. 244 第3章 「再挑戦」
Masa Kokubo
1995年中央大学法学部卒。損害保険会社勤務後、アイオワ州の大学院にてMBAを取得。その後、メガバンク、IT企業を経て、現在はグローバル企業にて世界を相手に奮戦中。趣味はサーフィンとラクロス。米国生活は通算7年。
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