【世界のこぼれ話】3カ月漂流していた船乗りと犬をマグロ漁船が救助 メキシコ
3カ月にわたり愛犬と共に海上を漂流していたオーストラリア人の船乗りが、国際水域でメキシコのマグロ漁船に救助されたとAP通信が伝えている。
「グルポマール」社は17日(月)、同社のマグロ漁船の乗組員が、陸から約1200マイル(1900キロ)離れた太平洋上で行動不能になった双胴船「アロハ・トア号」を発見し、乗っていたティモシー・リンゼイ・シャドック氏(54)と愛犬のベラを救助したと発表した。
同社によると、シャドック氏とベラは発見されたとき、食料もシェルターもない「不安定な」状態だったという。マグロ漁船の乗組員は、彼らに食事と水を与え、手当を施したという。なお同社は、シャドック氏が救助された日や航海を開始した時期についての具体的な詳細は明らかにしていない。
オスカー・メサ・オレゴン氏が船長を務めるマグロ漁船は、18日(火)にシャドック氏とベラとともに太平洋岸のマンサニージョ港に到着する予定となっていた。
シャドック氏はオーストラリアのテレビ局「ナイン・ニュース」の取材に対し、嵐で船が損傷し、電子機器が全滅した後、生の魚と雨水で生き延びたと語った。痩せて髭を生やした同氏は、「海で非常に困難な試練を乗り越えてきた。長い間一人で海にいたので、休息とおいしい食事が必要だ」と述べた。なお、シャドック氏の健康状態は良好であるという。
シドニーのデイリー・テレグラフ紙が報じたところによると、シドニー在住のシャドック氏と彼の犬は、4月にメキシコのラパスからフランス領ポリネシアに向けて出航したが、航海は数週間で終わってしまった。
グルポマール社がAP通信に提供した救助時の写真では、笑顔でひげを生やし痩せたシャドック氏が腕に血圧計を巻き、漁船の船室内で鎮痛剤の入った箱を持っている様子が写っている。他には、ベラが甲板で伸びている姿もある。なお、双胴船は帆が見えない状態で近くに浮かんでいたという。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.7.18)