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ちょっと役立つ 日本の新製品

【ちょっと役立つ 日本の新製品】”弱いロボット”が目指す未来

 色々な分野で、人の活動を助けたり、人の作業を全面的に置き代わって動いたりするロボットの開発研究が盛んになってきました。多くの場合、ロボット自身が的確に判断し、求められる作業を間違いなく効率よく完了するように設計される、いわば「強いロボット」です。

 「強いロボット」は、基本的に、人間にとって苦痛だったり困難な作業をするのが目的ですが、往々にして「人に取って代わる」という意味合いが出てしまいます。最近のウクライナ戦争をみれば、もはや戦争すらロボット(ドローンや誘導ミサイルなど)が牛耳ろうとしています。そのような社会を目指すのか? 「鉄腕アトム」や「ドラえもん」など、人間以上の知能や能力を持つ「次世代ロボット」が普及するのか? その時、人はどのような立場にいれば良いのか

 実は、この方向とは違うロボット研究も行われ始めています。それは「弱いロボット」という概念で、その一つが写真の「ゴミ箱ロボット」です。ゴミ箱の形をしていまが、これがゴミの周りを困ったようにうろうろし、周囲の人は思わずゴミを拾ってあげたくなる、というものです。あえて、ロボットにゴミを拾う手段を持たせず、人との関係でゴミ拾いという機能を実現し、同時に人の気持ちにも「良いことをした」という影響を与えます。

岡田研究室のウエブサイトより

 つまり弱いロボットといいうのは、あえてロボットを不完全な状態とし、弱さをみせることで「周囲にいる人の優しさ、手助けをちゃっかりと引き出し、機能を補完するロボット」なのです。ゴミを拾っていれると、お辞儀をし、次のゴミを探しに出かけます。

 すなわち、不完全さや弱さを開示して、人が関わりたくなったり、手助けをしたくなるような「余白」を持ち、周囲の人の「優しさや思いやり」を引き出すのです。人は思わず手助けをしてしまい、まんざら悪い気がしないというのです。

 次は「ニコボ」という、ニット素材にくるまれた球に近い形状のものです。撫でると尻尾を振ったり、寝言を言ったり、おならをしたりします。最初はカタコトですが、少しずつ言葉を覚え、頑張ってしゃべります。スマホ並みのCPUを搭載し、ネットワークにも接続できますが、役に立つ機能はほとんどありません。しかし、「ニコボ」を購入した人に「暮らしの変化」を聞くと、77%が「癒される」、66%が「笑顔、笑うことが増えた」と回答したのだそうです。「ニコボ」のプランは、単に機能面だけでなく健康診断サービス、着ているニットを取り替える交換サービスなどが含まれます。本体価格は65000円で、サービスプランは1100/月です。

パナソニックのウエブサイトより

No.341

となりのおじさん

在米35年。生活に密着した科学技術の最新応用に興味を持つ。コラムへのコメントは、 [email protected]まで

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