過去20年以上で米国太平洋領土を襲った台風の中でも、最も強力となった大型台風「マワール」がグアムを縦断してから約1週間が過ぎたが、島の大部分は依然として停電が続いているとAP通信が伝えている。
電力の復旧作業には少なくとも1カ月はかかると予想されており、グアム知事は住民へ忍耐を呼びかけている。
マワールは幸いにも死者や壊滅的な破壊をもたらさなかったものの、5月31日(水)時点では島内で復旧した電力は28%に過ぎず、多くの場所が停電となっている。また、連邦緊急事態管理庁(FEMA)の地域管理者であるボブ・フェントン氏によると、携帯電話タワーの約44%が機能し、水道システムの約半分が稼働しているという。
マワールは5月24日(水)深夜、カテゴリー4の暴風雨として人口約15万人の島の北端に一時上陸し、車をひっくり返し、屋根を引き剥がし、木の葉や枝を吹き飛ばすなどの被害をもたらした。
当局は、電力が完全に復旧するまでには4〜6週間かかると見ている。FEMAは、倒壊した住宅軒数をまだ正確には把握していない。グアムでは高校の卒業式が無期限で延期されている。フェントン氏によると、3400人近くが個人支援のために登録しているが、この数は通信網が改善されれば飛躍的に増加するという。
医療施設も大きな被害を受けた。グアムで民間人が出産できる唯一の病院であるグアム記念病院は、甚大な洪水被害を受けつつも、稼働を続けている。熱帯気候の中、エアコンがない状態での出産や、洪水のため使用可能な部屋がなく、産後に廊下で過ごすことを強いられた母子もいたという。
米国防総省によると、グアムは太平洋地域の米軍にとって重要な拠点であり、約6800の軍人が配属されているという。暴風雨に先立ち、軍当局は職員やその家族を避難させ、船を海に出し、航空機を島から移動させ、保護格納庫に固定する等の対策を取った。
A.B.ウォンパット国際空港も浸水したが、5月29日(月)には通常飛行を再開した。
シェアする
写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.6.1)