【世界のこぼれ話】子バイソンが人間に拾われた後に殺される イエローストーン
ワイオミング州イエローストーン国立公園で、訪問者の男性が子どものバイソンを救助したことから、群れがその子どもを避けるようになったため、公園当局はその子どもを殺す決断を下したとAP通信が伝えている。
20日(土)、バイソンの群れがイエローストーン北東部のラマール川を横断した際、この子どもは母親とはぐれたと見られている。公園当局はニュースリリースで、身元不明の男性がもがく子バイソンを川から車道に押し上げたと発表している。
幼い野生動物に対する人間の干渉は、親が子を敬遠する原因になることがある。パークレンジャーは子どもを群れに引き合わせようと何度も試みたが、うまくいかなかった。その後、この子バイソンが車や人に近づき、ついて歩く様子が目撃されており、これは危険であるため、公園のスタッフがこの子バイソンを殺処分したという。
公園当局は24日(火)、ツイッターにて、「このような選択をしたのは、怠け者だからでも、思いやりがないからでも、バイソンの生態を理解していないからでもない。国立公園が自然のプロセスを保護するための選択だ」と述べている。公園外の保護群に移送する場合は、その前に隔離する必要があるが、子どもが捨てられ、自立できない場合は、その対象にはならないという。
同公園では過去にも同様の事件が起きている。2016年にはカナダの男性とその息子が子バイソンを救出できると考えてSUVに乗せたことで、生まれたばかりのバイソンを安楽死させるに至った。この男性は、235ドルの罰金と、イエローストーン公園財団の野生動物保護基金に500ドルを支払うよう命じられた。
公園当局は、今回この子バイソンに介入した男性を探している。声明によると、40代から50代の白人男性で、青いシャツと黒いズボンを着用していたという。
なお、今回殺処分された子バイソンはその場に残される処置が取られた。これは、同公園で、生まれたばかりのバイソンの25%ほどが生き残れないのと同様であると、公園当局は述べている。「それらの死は、クマやオオカミから鳥や昆虫に至るまで、あらゆるものの餌となることで、他の動物に利益をもたらす。この生命の循環を許すことは、アメリカ国民から託された管理責任に沿うものだ」
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.5.25)