ハワイでの飢餓撲滅に向けて活動する「ハワイ・フードバンク」によると、ハワイ住民の食糧不安はパンデミック以降も持続するだけでなく、拡大しつつあることがわかったとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
ハワイ・フードバンクの社長兼CEOのエイミー・ミラー・マーヴィン氏によると、同団体は現在、月平均約12万5000人にサービスを提供しており、パンデミックのピーク時に比べれば改善されたとはいえ、昨年同時期の月平均10万人と比べると25%増になっているという。
ハワイ・フードバンクはオアフ島とカウアイ島に倉庫を持ち、生産者、メーカー、小売業者から、またフードドライブを通じて食品を集め、フードパントリー、ホームレスシェルター、その他のプログラムや施設に配布している。2022年には、460万ポンド(約2086トン)の生鮮食品を含む1740万ポンド(約7892トン)の食料を配布した。
新型コロナの大流行時、ハワイは全米で最も高い失業率に直面し、フードバンクやフードパントリーに食料を求める長い車の列ができた。現在は長蛇の列がなくなったとはいえ、食糧難は続いている。
ハワイにおける食料不安の持続的なレベルは様々な要因から生じており、その多くは高い生活費、インフレ率、その他の「健康的な生活を送ることが難しい」理由から引き起こされている。
ハワイ・アップルシード法律経済正義センターの反飢餓イニシアチブ担当ディレクターであるダニエラ・スポト氏は、食糧不安は「目に見えない」ものであり、単に食べ物がないといった明白なものではないと語る。「インスタントラーメンやスパムなど、コンビニで買えるような安い食べ物でカロリーを補給しているように見える場合もある」
ハワイで食糧難に陥っている世帯の多くは、共働き家庭だという。ハワイ・フードバンクが支援する世帯のうち約30%が有職者だが、ハワイの生活費はあまりにも高すぎる。食料品のコストは2020年2月から2023年2月の間に約25%も上昇している。マーヴィン氏は、「毎月、この数字は刻々と上昇し、これまでその必要がなかった人たちも、我々に助けを求めてやって来るようになっている」と語る。
マーヴィン氏は、最低賃金の引き上げ、食料給付に関する一般市民の意識の向上、ハワイの食料システムの変化も、食料不安への取り組みに有益であると指摘した上で、「ハワイにおける食糧不安とは、それ自体が足りないことではなく、食糧への公平なアクセスができないこと、つまり、家族を養うための食糧を購入するのに必要な資金がないことだ」と述べている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.5.5)