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【今どき ニッポン・ウォッチング】一つのキャンパスに二つの大学が同居する、その狙いは?
東京の渋谷区に、ある特別な女子大学が存在していることを、ご存じだろうか。その大学とは日本の昭和女子大学と、米国のテンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)で、異国同士の二つの大学が、同じキャンパスの敷地内に存在しているというのである。日本にこのような珍しい大学が誕生したのは、恐らく初めてあろう。
昭和女子大学は建学百年の歴史を有する日本の古参大学であり、一方のテンプル大学もアメリカの大学では名のよく知られている名門大学であるのは言うまでもない。このような日米両有名大学が、日本の地で同一キャンパス内に同居するその主な目的はなぜなのか、知る必要があるかもしれない。
近年、多くの日本の大学は、学生たちに外国語の学習効果を高めるため、学生たちをその言語国に派遣し、現地で学習させているのが一般的になった。しかし、昭和女子大とテンプル大の新方式とは、昭和女子大のキャンパスに、両者を同居させたことである。相互学習の刺激的学習を通して、語学の上達を促進させるというのが狙いのようである。
両校が昭和女子大のキャンパスに同居してからは、学生同士の交流活動は前より積極的に展開されるようになってきたという。ある集会で、昭和女子大がTUJの学生のために造った歓迎の料理を試食した結果、TUJの学生のいろいろな質問が飛び出すという光景が見られるようになった。一方、昭和女子大の学生も負けじと、TUJの学生が造ったサラダを指さしながら、たどたどしい英語で質問が始まったのである。
両校が同じ敷地内にあることでお互いに講義も履修しやすくなり、体育館やプールも共用するなど、交流は深まっている。
昭和女子大のある一年生の学生は、TUJの外国人学生と一緒に学びたいことで、自分は昭和女子大を志望した、と言う。日本の大学でこのように多くの外国人学生と一緒に勉強できることを、自分は大変幸せに思っている、という学生もいた。
米国出身のTUJ3年生の1人は、「自分が中学生の時に、津軽三味線を知り、日本文化に強い関心をもつようになった。その後、現代的な日本を知りたいと、強く心に決めたのです」と言う。また他のTUJの学生は「ここにいたからこそ、これだけ多くの日本人学生と交流できたことが、何よりも勉強になった」と、流暢な日本語で語った。
もしかしたら、これがこれからの日米両国の大学の新たな交流関係の姿であるかもしれない。日米両国は共に教育先進国である。このような交流方式が普遍化すれば、全世界の若者も言語や文化の交流が盛んになり、世界の平和と理解に大きく貢献するであろう。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.252
早氏 芳琴