幼児用風邪薬が不足している状態が昨年終わりから一向に改善されていないとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
「ロングス・ドラッグス」や「ターゲット」などの商品棚はほとんど空となっているという。
これはハワイに限ったことではなく、アメリカ全土で起こっている現象だ。
有名ブランドの12歳未満向けの解熱鎮痛剤(一般市販薬)が特に品薄だが、咳止め薬もなくなっているところがある。
昨年クリスマス頃からこのような状態が続いているが、販売店の説明では、供給元が一時的にこれらの商品の出荷ができなくなっているという。
ハワイでロングス・ドラッグスを運営している「CVSヘルス」によると、子供用鎮痛薬の購入については、全ての店舗とオンラインで、一人2個までとしているという。
ターゲットでは、オンライン購入に個数制限を設けているが、実際には、子供用のタイルノールは在庫切れとなっている。
各店舗には「お一人様2個まで」という紙が張り出されている。
ターゲット側は、「顧客の需要に対応すべく、これらの商品については供給制約を注意深く監視している」と話している。
このような状況となった背景には、3つの出来事が重なったということがある。
冬に入ってのRSウィルスによる気管支炎の増加、インフルエンザ、そして、まだ収まりきっていない新型コロナ感染が重なり、風邪薬の需要が急激に高まった。
一般市販薬協会では、今回の幼児用風邪薬の不足は、メーカーの供給不足によるものではないと説明している。
「メーカー側は、需要に応えるために最大限まで生産を続けている。協会のメンバーである各社は、商品の不足が保護者をはじめ多くの人々にとって大きなストレスとなっていることを理解しており、できるだけ迅速に出荷している。今回の事態は、需要のあまりにも急激な増加によって引き起こされたもので、薬剤の不足によるものではない。買い占め、必要以上の商品の購入は控えてほしい」
実際、2021年との比較では、これらの商品の売り上げは65%も伸びている。
カイザー・パーマネンテの小児科医であるキャロライン・チャン医師によると、気管支炎とインフルエンザの感染は2022年末にピークを迎え、今では若干下降しつつあるという。
同氏は、タイルノール(Tylenol)やモトリン(Motrin)などのブランド薬の代わりに、アセタアミノフェンやイブプロフェンなどの一般薬を使用するのは全く問題はなく、不足している液体薬の代わりに噛む錠剤(Chewable tablet)の方が手に入りやすいとコメントしている。
生後6カ月以上にはアセタアミノフェンやイブプロフェンを使用できるが、6カ月未満にはアセタアミノフェンのみを使用すること。また、大人用の薬を量を減らして与えることは避けるよう呼びかけている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.2.6)