11月末から噴火を始めたマウナ・ロア火山から溶岩が噴き出す光景は、一生に一度見られるかどうかと思われるほど壮大なものだ。
それをひと目見ようとハワイ島を訪れる観光客が急増加しており、地元産業に大きく貢献しているとKHON2が伝えている。
夜空を明るく照らし、赤みがかったオレンジ色の溶岩が火口から溢れてゆっくりを山肌を流れていく様子を見ようと、多くの観光客がハワイ島へ向かっている。
ミッチ・ロス郡長は、「ハワイ島を訪れる絶好の機会。冬にもかかわらずハワイの気候はパーフェクトで、素晴らしいビーチもある。ビーチに座ってマイタイ・カクテルを飲みながら、溶岩が流れる山と頂きが雪に覆われた山を同時に眺められるのは、世界中でここだけだ」と観光のアピールに余念がない。
ヘリコプターによる島内観光を手がける「パラダイス・ヘリコプターズ」では、ツアー参加希望者が多すぎて手が回らないほどだという。
予約担当のチェネイル・クィアクサン氏は、「もう、すごい状態だ。従業員総出で、できる限りの対応をしている。もちろん、安全第一であることは言うまでもない」と述べている。
予約は通常の倍に膨らみ、1週間先までいっぱいで、キャンセル待ちは100人以上。
対応のために、従業員とヘリコプターをオアフ島から派遣し、これまで6つだったツアーを10に増やしたという。
地上で火山を見るツアーを開催している「カイラニ・ツアーズ・ハワイ」も同様に忙しくなっているという。
オーナーのクリス・ピーターソン氏は、「予約数は通常の20〜25%増だ。予想外のことだったし、ツアーで見学できる状態であることもラッキーだ。1カ所だけでなく2カ所から噴火を見ることができるので、参加者も満足している」と述べている。
噴火で恩恵をこうむる人々がいる一方で、地元コミュニティーでは大きな懸念が広がっていることも忘れてはならない。ハワイ州観光局の担当者、イリヒア・ジオンソン氏は次のように述べている。
「駐車していいのかどうか、その場所を通っていいかどうか、標識を確認してほしい。標識があれば、その内容を守るように。噴火の様子がよく見える場所には大勢の人が押し寄せているが、きちんとルールを守り、地域住民の暮らしを乱さないように気をつけ、敬意を持って行動してもらいたい」
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.12.2)