マウイ島の医師が、痛み止めとして使用されるオピオイドの一種「ヒドロコドン」を違法に処方したとして、先月31日、米連邦裁判所に懲役4年の刑を言い渡されたとホノルル・スター・アドバタイザーが報じた。
米連邦裁判所は今年4月、カイウィ被告に対し、通常業務の範囲外でヒドロコドンを処方したとして有罪判決を下していた。
刑が確定したのは、ワイルク在住の医師、ポール・A・カイウィ・ジュニア被告で、近く米連邦刑務所に収監される見込み。同被告はマウイ島のカフルイとハワイ島のヒロで「プログレッシブ・メディカル・クリニック」を経営していた。
クレア・E・コナーズ連邦検事は声明で、「被告は医師免許を剥奪され、比較的長い期間の懲役を言い渡された。これは、医療関係者が薬物処方の特権を濫用することにおける重大な犯罪性を示している」と述べた。
被告の元患者で、2020年に49歳で亡くなったダイアン・ケイ・ウェッブさんは、骨盤潰瘍、膀胱破裂、肘と膝の骨折、靭帯損傷により、約3か月入院し、手術を数回受けた。その際、被告はウェッブさんに毎月246錠のヒドロコドンを処方していたという。ウェッブさんは薬物の過剰摂取による脳損傷のため、自宅で亡くなった。
米麻薬取締局(Drug Enforcement Administration:DEA)特別情報局は、カイウィ被告が2015年1月2日から2020年1月22日までの期間に出した全処方箋のデータを分析した。その結果、最も多く処方されたのはヒドロコドンで、全処方箋の69%を占めていた。次に多く処方されていたのはベンゾジアゼピン(鎮静剤)、次いでカリソプロダル(筋弛緩剤)だった。
DEAによると、ヒドロコドンなどのオピオイド、ザナックスなどのベンゾジアゼピン、カリソプロダルなどの筋弛緩剤の組み合わせは、「トリニティ」と呼ばれるドラッグ・カクテルで、ヘロインに似た多幸感を誘発し、薬物過剰摂取の重大なリスクを伴うという。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.11.2)