ハワイで経済的に困窮している人々に食料品を配給している団体「フード・バスケット」や「フード・バンク」では、配給する食料品が不足しているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
ホノルルのフード・バンクでは、この夏は在庫をキープするのが困難だったという。
これらの団体では、過去数カ月に食料の需要が高まっており、これからサンクス・ギビングやクリスマスなどのホリデーシーズンに向けて、さらに在庫の確保が難しくなると予想している。
「フード・バスケット」のクリスティン・フロスト・アルべレヒト氏によると、全てが最悪の時に同時に起こったからだという。
パンデミックが終わり政府からの支援が減少したこと、一般からの寄付が減ったこと、サプライ・チェーンで物資が不足していること、それにインフレが追い討ちをかけている。
その中で最も大きな打撃となったのは、アメリカ農務省による緊急食糧支援プログラム(TEFAP)からの安定した供給がなくなったことだ。
「フード・バスケット」では、ハワイ島ヒロとコナにある配給所で毎月5万人の人々に食料を配給しているが、TEFAPから大きな供給を受けてきた。
同団体ではこれまで、シリアルや冷凍肉など10万ポンド(約45トン)分の食料品の供給を受けてきたが、サプライ・チェーン問題が原因で、今年春からは劇的に減少している。
8月には連邦政府のプログラムからの供給はなく、独自に購入するしかなくなったという。
「突然、購入資金を捻出しなければならなくなった。インフレで食料の価格が上がっているが、もう連邦政府の供給に頼ることもできない」とアルべレヒト氏は話した。
パンデミックで工場が閉鎖したり、生産力が落ちて食料の供給が減り、小売店ではあるものを売らざるを得ない状況で、寄付に回す余物がなくなっている。
こういったことはアメリカ全土で起こっているが、ハワイは地理的な問題で輸送コストがかかるため、状況はさらに悪化しているという。
インフレであらゆるものの価格が上昇している中で、日々の生活費の捻出に苦労する家庭も増加している。
年金額が増加したものの、「補助的栄養支援プログラム」による扶助がなくなった高齢者や子供のいる世帯も大きな打撃を受けている。
また、今まで寄付をしてきた一般市民も、インフレのために自身の生活に影響が出てきている。
「フード・バンク」では、毎月12万人以上に食糧支援を行っているが、数週間前に倉庫の棚が空になったという。
代表のエイミー・マーヴィン氏によると、パンデミック前と比較して、食糧支援を求める人々は50%以上増加しているという。
ワイアナエ・コースト総合ヘルスセンターで無料食料配布に集まる人々は毎回長い列を作っている。
数カ月前には、週520人ほどの高齢者に支援をしていたが、今では740人に増加しており、供給対象の子供は1,200人から1,800人へと増えている。
デービッド・イゲ知事は、最近第4回目となる緊急宣言に署名をし、栄養補助プログラムが11月18日まで延長されることになった。
また、州農務局によるプログラムで、対象世帯は地元産生産物を50%引きで購入することができる。
各団体では、これからのホリデー・シーズンを前に、食料品の寄付とともに現金による寄付も募っている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.9.26)