ホノルル市議会は、現在建設中の鉄道沿線で大規模な投資を行う事業主に対して、30年を上限として税控除や認可の迅速化などの優遇措置を検討しているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
優遇措置によって事業主に鉄道沿線の土地への投資を促し、新しい雇用を生み出そうという案だ。
この法案45によると、最低7,500万ドルを施設に投資し、100人以上を正規従業員として雇用した場合、事業主は30年を上限として固定資産税の免除を受けることができる。
ただし、事業主は、州ビジネス経済開発観光局(DBEDT)によって成長産業として認定されていなければならない。
主なものは、テクノロジー関連企業や多角的農業(Diversified Agriculture)、映画産業などだが、映画業界はすでにこの法案の法制化を強く望んでいることが明らかになっている。
マンハッタン・ビーチ・スタジオ・グループのアドバイザーであるデービッド・ゼロン氏によると、同社はハワイ大学のウェスト・オアフ・キャンパスに大規模なフィルム・スタジオを建設しようとしており、法案45によってこのプロジェクトは大きく前進するとしている。
また、現時点でもスタジオの建設予定地には固定資産税がかけられていないため、30年の優遇措置で市側が失うものはないという。
21日に行われた市の予算委員会の公聴会で、ゼロン氏は次のように述べた。
「パンデミックによってコストが上昇し、我々も苦境に陥り、財務モデルを大幅に変更せざるを得なくなった。この法案45は、新しいスタジオ建設を大きく後押しするもので、100人の雇用どころか、数世代にわたって雇用を生み出すだろう。ハリウッドのように、親から子に引き継がれていく仕事になる」
ハワイでの映画撮影を希望する人々はいるが、十分なスタジオのスペースがないことがネックになっているという意見も出された。
州当局の担当部署からもこの法案に賛成する声が上がっている。
市の予算局長であるアンドリュー・カワノ氏は、予想される税控除額を説明した。
おおまかな概算だが、事業主が7,500万ドルを不動産に投資した場合、土地の評価額は7,500万ドルとなり、商業利用の固定資産税率は1千ドル当たり12.40ドルなので、1年間の固定資産税は90万ドルとなる。
30年分ということは、市の免除する固定資産税の合計は2,700万ドルとなる。
決して少ない額ではないが、これに対してカワノ局長は、投資によってオアフ島が受ける恩恵は、固定資産税よりはるかに大きいという。
「良い給与の雇用を生み出すことができるのであれば、控除の意味は大きい。島内で住宅を購入し、生活をしていく人が増えるということにつながる」
法案45に関しては、10月19日の予算委員会で再審議される予定だ。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.9.22)