私のコラムをはじめから読んでくださっている熱心な読者の方（いるのかいないのかはさておいて）はご存じだと思いますが、このコラムのタイトルは、私が愛してやまない作家・さくらももこさんの名作中の名作『もものかんづめ』のオマージュとしてつけました。彼女の作品はどれも面白く、読みやすいこともあって小さいころから何度も何度も読み返してきました。もちろん漫画もほぼすべて読んでいますが、私はやはりあの独特の表現があふれるエッセイが大好きです。

　さかのぼること20年、初めてハワイ旅行が決まったとき、飛行機の中の時間つぶしにと母が本を買ってくれました。それが、さくらももこ著『ハコイリ娘。』だったのです。それを見た瞬間、狂喜乱舞したのを覚えています。大好きなさくらももこさん、しかも、そのももこさんが何とこれまた私の大好きなアイドル・モーニング娘。と一緒に色々な体験をして、それを本にしてくださったというのです。

　当時、モーニング娘。は、憧れない女の子などいないほどの人気。私も、もちろん熱狂的なファンでした。そして、なんと、ももこさんもモーニング娘。結成当初からの大ファンだというのです。モーニング娘。をももこ節で読めることももちろんですが、初めてももこさんとの共通点を見出したようで非常にうれしかったのを覚えています。

　私は今も、モーニング娘。の大ファンです。といってもさすがにもう「私もメンバーになれるかも？！」とは思わなくなり、そして自分より年下のメンバーばかりになったので「親戚のおばさん」ポジションでの応援に徹することにしていますが。

　さて、私はそれを旅行前に読んでしまわないようにと、ビニールにくるまれたままハワイ行きのバッグに忍ばせたのです。そのときは、ハワイ旅行よりも、『ハコイリ娘。』を読むことのほうが楽しみだったように思います。

　今でもはっきりとその装丁まで思い出せます。ピンクと黄色の二冊組で、外側の箱にはさくらももこさんのイラスト付き。ハワイにつくまでの約８時間で読破し、時差で眠れないハワイの夜にも何度も開き、うっとりと眺めていました。もちろん、日本に帰ってからも、そこから10年後に故郷を離れて上京したあとも、折に触れて読み返す一冊となりました。

　今では、その本に収められたメンバーはグループを卒業し、今は誰一人としてモーニング娘。ではありません。ももこさんももうこの世にはおられません。いつか、大変おこがましい願いですが、ももこさんに会うことができたら、今のモーニング娘。の魅力を語り倒したいと思います。「あんたねェ、」と呆れてくださったら、きっとそれ以上の喜びはないでしょう。